2008年7月29日 (火)

ホタルに思う

    6月14日、分校恒例のホタルの観察会を開きました。
満月に近かったため、谷間はやや明るかったですが、それでもたくさんの人がホタルを観ることが出来ました。
 観察地の「風の谷」は、かつて、棚田として細々と米作りが行われていた所ですが、高齢のため耕作を止めて8年ほど経った田んぼを、分校が、なつかしい生きものが次の世代も消えないようにと、周囲の山ごとお借りして、湿地として維持管理している所です。

 一方、平地の竹村からホタルが消えて20年近くになります。
消えた要因は、哺場整備に伴う乾田化や、コンクリート三面張り水路などの水環境の変化、農薬の使用、農道を我が者顔に走る車の明かり、そして米の生産調整政策を受けての米作りの中断などが上げられます。
 これらは、ホタルに限らず、田んぼと共に行き続けて来た、赤とんぼや、蛙など、たくさんの生きものに大きなダメージを与えてしまっています。
 そんな竹村の田んぼの中に、一ヶ所だけホタルが生き残っていました。
昨年は、20匹ほどでしたが、今年は100匹位に増えていました。
こつこつと、米作りを繰り返して来たOさんの田んぼです。
 Oさんは、ホタルがいることを知らなかったようです。
ただ、農薬を出来るだけ控え、毎年、米作りを続けて来ただけと言ってられました。
他の人たちのように、委託生産もせず、生産調整にも応じて来なかったので、村八分扱いだ…と、笑ってられました。
 周囲の田んぼは、生産調整で、小麦の後、大豆が植えられています。
どれもが委託生産です。
水がないのですから、ホタルや蛙もいません。当然、トンボが羽化することもありません。
その上、生産コストと、人件費を押さえるために、畦や土手には、除草剤が使われていました。確かに、ガソリン価格の高騰は、草刈り機の燃料代にも大きく影響していますから、請け負った側としては、除草剤を使わざるを得なかったのでしょう。
 生産調整に応じると、作付け面積に応じて補助金が農家(土地所有者)へ出ます。
竹村の場合、ほとんどの田んぼの所有者は、兼業どころか、米にしても小麦にしても、ほとんどが委託生産で、自分の田んぼへ行かなくなっています。
この現象は、日本各地で見られるようです。
日本の農業が、どんどん変な方向へ向かっているように思います。
 自分で米作りをしない人へ補助金を出すのを止めて、米作りをしたくても土地のない若者などに、それらの土地を格安に提供するなどの政策は取れないものでしょうか。

 そしてまた、各地で、お金や人手をかけてもホタルを復活させようとの動きがあります。
業者から飼育キットや、幼虫、カワニナを購入したり、行政の補助で井戸を掘ったり、せせらぎを作ったりしています。
 それと不思議なことは、それらホタルを欲しがる人たちが目指しているのは、より豊かな自然環境を必要とするゲンジボタルなのです。
中には、自然繁殖をしている地域から、こっそり、ホタルやカワニナを盗って来る人たちもいます。私たちの所も、時々荒らされています。
 これらの行為は、自然保護どころか、自然を食い物にしています。
大切なことは、ホタルもすめるような自然環境の保全であり、再生と思います。
生きものが自らの力で世代交代出来るように、人間の活動で損なわれた自然を、少しでも良くなるように汗を流すことが大切に思います。

 田んぼを田んぼとして、毎年、米作りが行われたならと思います。
そのためには、みんなで、お米を食べることも大切に思います。

 竹村では、ホタルを何とか以前のように復活させようと、次のようなことをやろうとしています。ぜひ、実現させたいものです。
①Oさんの田んぼの周りは、転作をせず、米作りをして、ホタルの生息域の拡大を図る。
②米作りの田んぼの周りは、除草剤や農薬使用を控える。
③草刈りボランティアをつくり、除草剤を使わなくて済むようにする。

 写真上は、風の谷でのホタル観察の様子。(Iさん撮影)
下は、竹村にホタルが一ヶ所だけいた田んぼ。
背後の山のように見えるのは、台地との境です。

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2006年10月20日 (金)

アサギマダラのマーキングに思う

 土岐の山里の窯を訪ねたときです。
畑の隅に植えられていたフジバカマで、アサギマダラの♂が蜜を吸っていました。
 アサギマダラは、渡りをすることで知られていますが、山歩きをしていると、ヒヨドリバナなど、彼らを引き寄せる物質が含まれる花が咲いている所で出会うことが出来ます。Dscn4713

 しかし、気がかりなことがあります。
近年、数が少なくなっているように感じるのです。
なぜでしょうか?
 一つには、ヒヨドリバナ、サワヒヨドリ、アザミなどの吸蜜植物が、開発や、山野の荒廃などで少なくなっていることです。
 例えば、秋の七草になっていたフジバカマは、自然の状態で見ることは、ほとんどありません。
 食草は、ガガイモ科ですが、こちらはどうでしょうか?
地域によっては、蔓ゆえに刈り取られ、代わりに西洋アジサイなど、自分たちの好みの植物が植えられています。

 直接影響しているとは言えないかも知れませんが、もう一つ気がかりでもあり、心を痛めているのは、マーキングと言う、一部マニアの行動です。

 8月22日、「海を渡る蝶アサギマダラ」として、NHKクローズアップ現代でもマーキングのことが紹介されていました。
 ゲストとして、日本野鳥の会の会長の座にいる俳優、某氏も出演していましたので、アサギマダラの現状でのマーキングの危うさについて何か述べられるのかと思ったのですが、私もやっていますと、ニコニコされていたのには拍子抜けしました。
 かつて、カスミ網による狩猟を法的に禁止に追い込んだ会ですが、まさか、宗旨変えをしたわけでもないでしょう。 
 番組内容も、マーキングの楽しさやロマンが強く印象に残るような放映でした。
NHKも、TV放送の影響をよく考えて報道してほしいものです。

 マーキングは、渡りの謎を解明する目的で始められたと思うのですが、野鳥などの標識調査と違い、素人でも簡単に出来ることや、インターネットの普及などから、大衆化し、かなりの人達が渡りのシーズンになると各地で網を振るっています。

 マーキングは、捕まえた蝶に、油性のフェルトペンで、左右の翅に、捕獲地と捕獲者の省略文字と連番を書き込んで記録して放し、飛んでいく先々で、再捕獲を試み、捕獲情報の交換により渡りのルートを解析するものです。
 つまり、アサギマダラと言う蝶を、マーキングに取り憑かれた人々が、各地で見つけ次第、捕らえることを繰り返すものです。

 ルートの概要は掴めたのではないでしょうか。
これ以上多くの人を巻き込んで、無計画にマーキングして、どうしょうと言うのでしょうか?
 それなりの情報は集まったのですから、軌道修正して、アサギマダラなどの生き物が、次の時代も生きていけるよう、生態系を保全することに汗を流されたらと思います。

 渡りのルート上で、何度も捕獲されるアサギマダラ。
彼らにとっては、大きなストレスです。傷つき、落蝶するものも出るでしょう。
再捕獲率が低いからと、数に頼み、無計画に捕獲するのは、止めにしたいものです。

 現在行われているマーキングは、人間に例えれば、旅先でいきなり捉えられ、腕や足に刺青をさせられて放たれるようなものではないでしょうか。
 話すことも抵抗することも、まして、フェルトペンの文字を消すことも出来ないアサギマダラを、人間の興味や楽しみだけで標的にするのは、止めにしたいものです。
 
 マーキングしている方に何をされているのですか?とたずねたら、マーキングの楽しさをこんこんと話してくれました。
「自分のマーキングしたアサギマダラが出来るだけ遠くで捕獲されるのが喜びで、病みつきになりますよ…。」とのことに唖然とさせられました。
 ルートを解明し、アサギマダラの保護に役立てるとの考えは、あまり感じられませんでした。

 楽しいからやる。
魚釣りと同じで、現状のマーキングは、アサギマダラが人間の楽しみの犠牲になっているように思います。

   

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